家族のうつ病

過去にうつ病になった家族がいます。
私はその時まだ幼かったので、家族が病気になったタイミングもわからなければ、そもそも本当に病気なのかもわかりませんでした。
初めのうちは家族も元気だったのです。元気だったというよりも、私の前ではいつもと変わらないようにしてくれていました。
家族は仕事をしていなかったのですが、資格取得のための講習に参加したり、明るくなるように努め、家に引きこもることはしていませんでした。

初めのうちは、私は、うつ病と聞いて接し方に気を使わないといけないと考えていたのですが、その家族の明るい様子を見て、「もういつも通りで大丈夫なんだ!」と思いました。
しかし、今となってはそうじゃなかったと考えています。

ある日家族が、昼寝をしていた私を起こしに来てくれたことがありました。
私はまだ眠っていたくて、「うるさい!」と言ったと思います。
すると、家族が何も言わずに背中を向け、部屋に戻っていった、その後ろ姿をぼんやりとですが覚えています。
私の記憶の中では、その私の「うるさい」のひとことをきっかけにして家族はだんだんと明るさを失い、お風呂や歯磨き、おしゃれなどの自己管理能力もなくなっていきました。
日が経つにつれ、元気で健康だったころの家族の面影はなくなりました。
顔の表情・目つきが変わり、体は痩せ、過呼吸を繰り返したり、言葉数も減り、自分でトイレにも行けなくなりました。
自分の言葉をきっかけに変わっていった家族の姿を思い、家族が亡くなってから何年も自分を責め、落ち込みました。